ちょっとした下処理が味を大きく変える!
こんにちは。
和食料理人 たんとです。
今回はイカの塩辛の作り方
をご紹介したいと思います。
が、大まかな工程としては、
“イカを細く切って肝と和えるだけ”と、
これほど単純な料理は無いのではないでしょうか。
確かにやることはそれだけなのですが、
その工程ごとに存在する、
料理人だけが知っている、
ちょっとしたポイントこそが、
イカの塩辛をより美味しくさせる、
プロと素人との違いかと思います。
そんな、料理人が行なっている、
その各工程ごとのポイントを踏まえつつ、
美味しいイカの塩辛の作り方を伝授いたします。
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3種類のイカの塩辛
まず、イカの塩辛といえば、
スルメイカ
を使うのですが、
いかの下処理は普通に行い、
胴(エンペラとゲソ)とイカわた とに分けます。
(今回は下処理の方法は割愛させていただきます)
ここで、まず、
イカの塩辛の種類についてお話ししておきたいと思います。
イカの塩辛は、大きく分けて3種類あり、
・白造り イカの皮を取り除いたもっともポピュラーな塩辛
・赤造り イカの胴体の皮をつけたまま細挽いて塩辛にしたもの
・黒作り イカの墨をあえて使い黒色に仕上げた塩辛
ですので、
下処理の段階でどのような塩辛を作るのか?
というイメージを持って下処理を行ってください。
今回は一般的な塩辛
白造りをベースに考えていきたいと思います。
ここで行う仕込みは大きく分けて二つ。
それぞれにポイントがあるので解説していきたいと思います。
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イカのわたの仕込み
イカわたの仕込みで行うことは、
”塩をまぶして水分を出す”
ということですが、
なぜこのようなことをするのでしょうか?
それは、
水分と一緒に”臭み”も逃すためです。
ここで、〇ック〇〇ドや料理記事を見てみると、
『イカのわたに塩をして半日おく』とか、
『3日間塩をしておく』
言い切っているのですが、
この塩をする時間というのが、
上の表記ですと間違いでもあり、正解でもあるのです。
というのも、
抜きたい”臭み”というものが、
鮮度によって異なるので、
その都度時間は変えないといけません。
ですので、
一概に『半日だ』『3日だ』とは言い切れないのです。
例えば、
朝釣りたての鮮度抜群のイカのわたは、
臭みがまだ出ていないので、
ある程度フレッシュな状態で食べられます。
なのに、
何日も塩に当てることでは、
無駄にわたを”しょっぱく”させてしまいます。
逆に、
少し日が経ったわたは、
臭みが出てきているので、
何日かかけて、
しっかりと水分(臭み)を抜かなければなりません。
そこで長い時間かけて水分を抜くためには、
変わりに塩分が入り込むのはしょうがない…
ということになります。
ここでおさらいしますと、
・新鮮=半日程度 塩をまぶし水分(臭み)を抜く
・古い=臭みに応じて2~3日塩をまぶして水分を抜く
ということになります。
イカのワタがしょっぱいと、
それだけで”塩分の強い”塩辛になります。
また”しょっぱい”ワタは使いづらい…
そう私は感じます。
『それが塩辛!』
確かにそうなのですが、
個人的にはイカのワタが臭くない、
そして塩分の効いていないマイルドな塩辛が美味しいと思います。
…
このことを踏まえて、
次の工程が変わってくるのです。
イカの胴体の仕込み
ここで最大のポイントは、
イカの胴体に塩をするのか?
ということになります。
ここで考えることは、
イカわたと合わさった時の塩分です。
・古いイカわた=長く塩を当てている=しょっぱい
ですので、
もうお分かりかと思いますが、
しょっぱいイカわたを合わせる場合、
胴体に塩をすると塩辛全体が、
しょっぱい仕上がりになってしまう可能性があるのです。
なので、
イカわたの状態で胴体の仕込みも変わってくる
ということになります。
味付けというものは、
引き算はできませんが足し算はできます。
ですので、
味が濃い場合、しょっぱさを減らすことは難しいのですが、
味が薄ければ、後から塩を足せば解決です。
しかし、
私はここで調味料は使いません。
ここで、
料理人のテクニックをお教えしましょう。
私は塩辛を作る際、胴体に塩をしません。
ですが、
調味料を加えることなくイカの味を濃くする方法があります。
それは、
乾燥
です。
イカ自体の余分な水分を飛ばすことによって、
旨味が凝縮し味が濃く感じるのです。
ネットでは
「冷蔵庫でラップをしないでそのまま放置」
という方法も紹介しているものもありますが、
個人的に、冷蔵庫の中におくと、
いろいろな匂いがイカに移ってしまいそうで、
あまりお勧めしません。
風通しの良い日陰に2〜3時間もおけば、
表面が乾いてきます。
夏場や気温が高い日などはお勧めしませんが、
自然乾燥の方が私は美味しくなるような気がしますね。
そして、
もっと理想的な塩辛の作り方は、
”タイムラグを無くす”
ということです。
先に申しました、
イカわたの水分を抜くのに3日かかる場合、
同じイカの胴体を使うのならば、
3日間の待ちぼうけを喰らう訳です。
つまり、同じイカを使うとなると、
鮮度が落ちたイカを使わなければならない
ということになります。
そこで料理人はどうするのか?
イカわたがちょうど良い状態になった時に、
新鮮なイカの入荷があれば、
それを先に使ってしまうのです。
臭みの抜けたわた+新鮮なイカの胴体
こんな贅沢な組み合わせは
一般のご家庭では難しいかと思いますが、
これが、
料理の世界でお金をいただく”仕事”と言うものかと思います。
あと付け加えるのであれば、
ゆずの皮を加えると味にまとまりが出て”しまり”ます。
まとめ
最後におさらいです。
→塩をべったり表面にまとわりつかせ 3時間〜半日
→水分を飛ばして、細びいた胴体とわたを合わせる
→ 塩分が足りないようなら塩で調整
→仕上げに刻んだゆずの皮があるとベスト
鮮度が落ちるイカのわた
→塩をべったり表面にまとわりつかせ 2~3日
→水分を飛ばして、細びいた胴体とわたを合わせる
→ イカのわたがしょっぱいので少しずつ合わせて味を見る
→仕上げに刻んだゆずの皮があるとベスト
たかが、
イカのわたと身を合わせた食べ物
ではありますが、
されどです。
素材の状態を見極めたり、
ベストな状態での組み合わせを考えたリ、
味の足し算、引き算を考えたり と、
料理というものは本当に奥が深いものです。
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