和食料理人のたんとです。
突然ですが、
家で天ぷら作りますか?
そもそも、
家で揚げ物って料理人から見ても、
難しい料理だと思います。
何が難しいかと言いますと、
温度管理です。
天ぷらが上手に上がる温度が、
180℃
これは皆さん分かっている事。
しかし、
ご家庭で180℃を一定に保つのが、
本当難しい!
油に材料を入れれば、
それだけで温度は下がります。
火加減を一定にしていても、
時間の経過で温度は上がり続けます。
ですので、
下がったり上がったりする鍋の中の油の、
温度の推移、特徴を知る事でも、
天ぷらを上手に揚げることができます。
あとは、衣の状態ですね。
…などなど、
現役料理人が分かりやすく、
料理人だから伝えられること、など、
天ぷらの基本をお教えします。
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天ぷらサクサクの1つのポイント”油の温度”
先に申しておりますが、
天ぷらを作る際に気にするポイントは、
温度と衣
です。
まず、温度に関してですが、
180℃という温度が定石。
ですが、
細かく分けるとしたら、
柔らかい食材と固い食材とで、
温度が違います。
柔らかい食材-180℃
・エビ
・魚類
・柔らかい野菜(しいたけ、など)
固い食材-170℃
・かぼちゃ
・さつまいも など
どちらにせよ、ポイントは、
この温度をキープし続けること!
これが、
天ぷら料理の成功のカギなのです。
温度に関しては、
180℃だ170℃だ、
わかりますが、
天ぷらを揚げる際、
油の温度が、
どのように変化しているのか?
ここを言及しているものが実に少ない。
では、
この温度をキープさせることに全身全霊注ぐ為に、
油の中の温度変化を見てみましょう。
まず、最初、
何も入れない状態で180℃にしたとしても、
食材を入れれば温度が下がります。
イメージは、
熱いお茶に氷を入れるようなもの。
もちろん、
食材が氷のように冷たい訳ではありませんが、
油の温度と差があれば、温度は下がります。
逆に少しでも、
油の温度に近づける。
これは料理人が調理に対する気づかい
とでも言いましょうか。
一仕事入れるなら、
揚げる前に食材を常温に戻す。
なんて仕事もあります。
これ、
ステーキを焼く時などには、
行う作業です。
話を戻しましょう。
■油に食材を入れると温度は下がる
ですので、
考える事は食材を油鍋に投入した”後”が、
180℃(170℃)
ここが第一関門。
まずは、
この事を頭の中に。
では、
どうしたらいいのかというと ?
食材を入れたら、
少し温度を上げるのです。
これで温度低下を防ぎます。
意識する事は、
常に温度キープ!です。
そして、
温度低下を防げたら、
次に気をつける事は、
温度の上昇。
火加減を調節していなくても、
温度はどんどん上昇していきます。
そこで、
次の対策は火加減を弱め、
温度上昇を防ぐこと。
ここでも考えることは、
温度キープです。
この油の温度の推移を知らないと、
一定の温度をキープ出来ているつもりでが、
実際は上がったり下がったりと、
天ぷらが上手に出来る環境にありません。
何はともあれ、
天ぷら油の温度を一定
これにつきます!
次は衣についてです。
こちらもなかなか奥が深い!
サクサク天ぷらに仕上げる衣のコツ
天ぷらは、
基本小麦粉を使用します。
小麦粉の種類も.
強力粉、中力粉、薄力粉が存在するのですが、
天ぷらに関しては、
薄力粉。
ここで皆さん、
”グルテン”という言葉聞いたことがあると思います。
簡単に言ってしまうと、
”粘り”
です。
このグルテンも、
上手に付き合っていかないといけません。
サクサクに上げる為の天ぷら衣のポイント
良い天ぷら衣の理想系は、
薄めの衣が食材の表面にコーティングされていて、
適度に衣の水分が抜けるとサクサクした食感が得られる…
そんな感じでしょうか。
ではまず、
このグルテンというヤツがどんな働きをするのか?
グルテン=粘り
粘りがある衣は、ボテッとした重たい衣。
言うなれば、
フリットみたいなものをイメージしたらわかるでしょうか。
食材の周りに纏わり付きすぎてしまいます。
また、
粘りがあると水分を逃がしにくく、
この水分が”ボテッ”っとさせる原因にもなります。
要するに、
グルテンが粘りを出さないようにする事が、
成功の近道なのです。
グルテンが粘りを出さない為のポイント
一つ目は温度です。
グルテンは、
温度が高いと粘りも強くなります。
ですので、
衣の温度は低い状態にする。
その方法は、
・使うまで冷蔵庫に入れておく、
・衣の中に氷を入れる
などの対策をして温度を上げないようにします。
また、
衣を作る際、混ぜすぎると、
これだけで粘りが出てしまいます。
ですので、
衣を混ぜる際は回数を少なく、
ざっくり混ぜる。
混ざりきらないで、
若干粉が残っているくらいが丁度良いのです。
あとは、
時間が経っても粘りが出てくるので、
衣は使う分だけ、
その都度合わせるのが理想です。
あと、
天麩羅の衣に卵使いますが、
その理由は、
膨らみやすくするためです。
卵液に空気が入って、
それが膨張し、そこから水が抜けやすくなります。
そうする事で、
からっとした天麩羅が出来上がるのです。
また、裏ワザ的に入れるだけで簡単に
これと似た作用を生じるものがあります。
ベーキングパウダー
これをほんの少しだけ衣に入れると、
二酸化炭素を発生し膨張するので、
卵と同じような効果があります。
ベーキングパウダーに含まれる重曹は、
固まると水を吸収しにくいので、
水分が抜け、
揚げた後も衣はカラっとします。
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最後に
といった具合に、
天ぷらの衣一つとっても、
なかなか奥が深いものです。
天ぷらで注意したいポイントは、
温度と衣の状態
これらが、
どのようになると美味しくなり、
どのようになるとダメになるのか?
これを知っているのと、
知らないでは雲泥の差。
実際、
油の中や衣の中で起きていることを、
理解して料理をしていくと、
注意すべきポイントや、
やってはいけない事などが見えてきます。
これって、
どんなことにも共通して言えることだと、
私は思います。
ただ機械的に作業するのではなく、
物事の本質を理解できていると、
どんな状況でも対応できます。
表面的な理解ではなく、
芯からの理解。
どうせ教えるなら、
最後まで伝えて欲しいものです。
今回のお話で、
天ぷらという料理の核心が、
見られたのではないでしょうか。
私の個人的な意見としては、
料理の核心を知って料理することこそが、
料理の上達に繋がるのだと思います。
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