刺身のつまは食べてますか?
和食料理人たんとです。
日本人の良い所は、
様々な文化を取り入れて融合してしまうところ。
食文化においても、
野菜や海産物中心の食生活から、
肉を中心とした食の欧米化が進んできました。
近年では、よりグローバル化が加速し、
日本にいて食べられない料理は無いというくらい、
食の国際化が進んでいます。
しかし、
我々は日本人です。
和食は日本の文化です。
なのに、
最近その文化が廃れてしまっている。
そう感じずにはいられません。
我々は、日本古来より伝わる和食という文化を、
後世に伝える義務があります。
しかし、
それを伝える人が非常に少ない。
和食は日本人と密接に関わっています。
食材から四季を感じたり、
食べ物から願いを込めたり、縁起を担いだり。
また、食べ方に関しても、
日本人らしく繊細で、考え尽くされています。
それが食べる順番であったり、
意味のある添え物であったり。
その代表的なものが、
お刺身です。
魚を切っただけの料理…
いやいや、本当奥が深い料理なのです。
今回は本当の刺身の食べ方を知ってもらい、
和食の奥深さを感じて頂ければと思います。
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食べる?食べない?刺身のつまの意味
刺身を語る際に、多くの方が、
まず疑問に思っているのが
”つま”の存在
ではないでしょうか?
つまとは刺身においての添え物の総称で、
種類としては、
・つま
・けん
・辛味
に分けられます。
一番ポピュラーな、
大根の千切りは”けん”になりますが、
”けん”とは、
野菜を細く切ったものを指し、
大根に限らず、
かぼちゃやキュウリなども使います。
また、
海藻や花穂などの添え物は”つま”
辛味は、
わさびや生姜を指します。
では、
これらの添え物はただの飾りなのか?というと、
これがまた深い話なのであります。
添えられている理由を聞いたら、
もう”つま”を食べずにはいられません。
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つまの三つの働き
つまの働きは、
・香りや辛味を添えてより味わいを増す事
・解毒作用や静菌作用を利用して安全に食べる事。
・口の中をリセットする働きです。
が挙げられます。
香りや辛味を添える働きに関しては、
一切れずつ違った味わいを、
つまで表現する事ができます。
一切れ目は、
わさびだけ少し効かせて、
二切れ目は、
わさびと花穂で香りを楽しみながら、
三切れ目は、
わさびと酢橘などの柑橘系の香りを合わせて…
みたいに、
それぞれ、つまが刺身の魅力を引き立て、
様々な味わいを感じることができるのです。
二つ目の解毒作用という、
ちょっと大袈裟な言葉になりますが、
今の食品保存環境では、
あまり当てはまらない役割かと思います。
昔の冷蔵技術がそれほどではない時代の名残り
とでも申しましょうか、
とはいえ、
ナマモノですので用心に越したことはありません。
そして、最後の、
口の中を、刺身と刺身の合間にリセットする、
という点が繊細な和食らしい意味合いです。
味覚というものに、
【余韻】
というものがあります。
これは、
時には口の中に良い印象を長く残しますが、
時には、
次の料理の味を邪魔してしまうものにも、
なりかねません。
ここで、まず、
刺身を食べる順番のお話を、
伝えなければなりませんね。
刺身を食べる順番
盛り合わせなどで、
何種類かの刺身が盛られている場合なら、
淡白な身質の白身魚から食べ始め、
より濃厚な味や、
より脂の多い魚へと食べ進むのが良しとされています。
最初にマグロの大トロなどを口にしてしまうと、
後から白身魚などを食べた場合に
繊細な風味が感じづらくなってしまいます。
ここで、
つまが大事な役割を果たします。
そう、
口の中を、刺身と刺身の合間にリセットする
のが”つま”なのです。
口の中の余韻が、
次の味を損ねないようにする働きこそが
つまであり、
そのように、
一つ一つの素材の味をしっかり味わってもらいたい
という、
和食の心があらわれた大事なものなのです。
ですので、
つまを食べる?食べない?
などという議論こそナンセンス。
つまを含めて、
お刺身であり、和食なのです。
そして、
このつまの偉大さこそ、
日本人が共有しなければならない、
和食の真髄なのです。
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最後に
今回はお刺身の食べ方を通じて、
和食の奥深さをご理解いただけたかと思います。
お刺身は淡白な白身から食べていき、
脂の多いもの、味が濃厚なものへ。
また、その合間合間でつまが、
・口の中をリセットする働きや、
・刺身の味わいを変化させたり、
・今ではそれ程危険ではありませんが、
解毒作用を働かせたり
と、大事な役割を果たしています。
正しいお刺身の食べ方とは、
つまなどの存在をしっかり理解して、
それぞれの刺身を美味しくいただくこと、
かと思います。
意味のないものなど無い
和食においても、
人生においても共通することなのでしょうか。
何より、
日本人の心に通じる、
細やかや心配りと、繊細さを、
お刺身や和食から感じていただけたらと思います。
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